人生の山中にて

なんかあったら、書く

バイオ7の恐怖という魅力

 

ゲームの話をするとき、就活で任天堂の説明会に行った時の君島社長の言葉を思い出す。


『ゲームは飽きられる。これは宿命なのです。だから、新しい楽しさを常に追求しなければならない。』


シリーズ物のゲームは、この宿命を否応なく背負わされる。

ゼルダの伝説シリーズを見ればわかる。
ファミコンスーファミ、GBの2Dゼルダ→時オカの3D化→Willからの剣を振るなどの加速度センサギミック→BoWのオープンワールド

 

同じシステムの中での新しいギミック(ムジュラの3日間システム、バイオ3のネメシスとか)では、ゲーマーの飽きは止められない。

 

ゲームシステムの改変が必ず必要になる。(その点、ポケモンって同じシステムで新しい客に常に供給する戦略なのかも)


バイオハザードも同じ宿命を背負っている。

第1段階:バイオ0-3、コードベロニカ→第2段階:バイオ4-6、リベレーションズ→第3段階:バイオ7

と、大きくシステムが変わる。(アウトブレイクは、1.2段階の間ぐらい)
いつも評価されるのはシステム改変後最初の作品。つまり、バイオ1、バイオ4、バイオ7である。


特に、バイオ4のシステムの改変はカプコンにとってかなりでかい話だったというのを当時のファミ通で読んだ。
結果はゲーマーから大絶賛だったのだけど、そのせいでバイオ5、6については4を越えることをかなり苦心して作られたそうだ。

第2段階では、第1段階からプレイヤーの視点が大きく変わり、キャラクター追従の第三者視点TPS(操作するキャラクターの後ろをぴったりくっついて歩く視点)になった。また、射撃時は、一人称のFPS視点になった事で、視点切り替えが必要となり『全体を把握する』『狙いを定める』という事の重要度がゲーム内で増した。


その結果、アクション性が上がり『マップや、敵全体を把握し、効率よく動く』という事を楽しむゲームになったと思う。

その象徴として、第2段階には時間内に多くの敵を倒して点数を競うオプションモード(マーセナリーモード)が存在し、今でもこれを競うプレイヤーがいる。

そして、もう1つ大きな違いは主人公はミッションを持って現地に乗り込む。それまでのシリーズは全て脱出が目的で、逃げている間に、事件の全容が明かされていたのに対して、救出とか原因の究明とか主人公がミッションをもっている。

そのためなのか、第2段階はストーリーがかなり練られている。というか全体のストーリーを進行させようとする。コナンでいう黒の組織が出てくる回のように、第1段階でバラバラに散りばめたバイオ全体のストーリーがかなり進行する。

 

第2段階は、こんな特徴があるので、バイオのストーリー全体像が知りたいバイオのコアファンやFPSゲームが好きなファンには待ち焦がれる作品となったが、5.6と作品が出る中で、ホラーゲームとしてのバイオが好きな人や、新しいゲームを待っている人達にはだんだん飽きられていったように思う。(山中は、5.6やってないのでかなり偉そうな物言いだけど。)

 

そんな中、バイオ7である。(やっと本題にたどり着いた。。)

はじめに。
バイオ7めちゃくちゃ好きです。システムと数人の敵キャラに労力を全振りしてる感じで荒いし、ボリュームもそんなないけれど、完全に心持ってかれました。別にそんなにゲームの数やってないんだけどね俺自体。

何が面白いって、怖い!とにかく怖さを追求している。ここに関しては、ホラーゲーム結構やってる人達にとってはパクリが多いとか色々言われているみたいだけど、PRで散々怖さを煽ったのに、期待以上の怖さだと思う。

さらに、その怖さがシリーズ第一段階の怖さと似てるところが、『あ、これはバイオハザードだ。』と思わせる。

シリーズ第1段階は、固定視点と言って監視カメラから覗いたような視点でキャラクターを動かす。なので、視点の切り替え先に敵がいる事が切り替わるまでわからない。この視点が切り替わる通路の角を曲がる怖さ、ドアを開ける怖さがバイオ1の怖さの1つだった。

また、第2段階では、弾薬や回復薬だどの資源の枯渇が起こることはほとんどなかったが第1段階では、資源が無くなって詰む事があった。(実際詰んだこともある)さらに、アイテム欄も限られており常に何を持っていくか?という判断を迫られる。

第1段階は、これらの要素でホラーゲーム・サバイバル・脱出というキーワードが合うゲームだった。


バイオ7はここに回帰する。しかし、第1段階と違う事が2つある。


1つ目は、グラフィックと音の質の向上である。特に、音が本当に怖い。イアホンをずっとしてやっていたけど、そもそもの生活音(ハエの音、風の音)、ドアの開け閉めの音、敵キャラの声が、操作キャラクターからどの方向、距離感なのかわかるレベルで聞こえる。

だから、敵キャラと遭遇しないために音をかなり注意して聞くことになるのだけど、集中して聞けば聞くほどランダムで入る生活音でびびりまくる。


この音の質の向上で、何かがいる事が分かってるが見えない角を曲がらなければならないシリーズ第1段階の怖さを濃縮した感じになって襲いかかってくる。

グラフィックの進化はFPS視点も相乗効果となり、匂いがして来るほどのリアルさで近づいてく。


2つ目は視点である。バイオ7は、FPS視点。つまり、第一人称視点でキャラを操作することになる。この恐怖は、第1段階と比べ物にならない。

そもそものキャラクターへの没入感が固定視点より段違いだし、敵キャラとの距離感が全然違う。敵からの攻撃は『ダメージを受ける事』と、割り切れない怖さがある。

また、FPSは視点のせいで、何度も何度も後ろを振り返ることになる。ゲームの中にもかかわらず。
第2段階でも、振り返ることはあったが、あくまで効率よく動くための全体把握のために振り返っていた。
しかし、7は『怖いから振り返ってしまう』のである。夜の道を何度も振り返るような、感覚で振り返る。しかも、振り返るのが遅すぎてもう死ぬほど怖い。

こんな、怖いものがどこからくるかわからない状態で自身の動かすキャラクターの影や手が一定のタイミングで突然映り込む。しかも、高いグラフィックで。


最終的に、何も動きたくなくなる。まで、いってしまう。


基本的にゲームは、テレビゲームに限らず、クリアへの障害に対して効率的な解決策を見つけてそれを試してクリアしていく。

しかし、バイオ7の場合、恐怖を克服することが効率的な解決策になる。これは人間の性質まで遡って解決するものだ。


だから、初見のプレーではとんでもなく下手くそになる。恐怖のせいで。これは、第2段階のバイオシリーズで操作に慣れたプレイヤーにとっても同じである。恐怖という要素は、プレイヤースキル関係なく、平等にプレイヤーに与えられる障害になる。これはホラーゲームならではのものだ。


僕は、この恐怖による障害によって、バイオ7は完全にゲームとしての面白さが第2段階を凌駕してると思っていて、もうシステムが変わったとかいう問題じゃなく、違う問題解決をしないといけないゲームになってしまった。いかに、恐怖を楽しみながらプレーに集中するかという要素がすごく強くなったのである。


さらに言えば、PSVRでプレーしたらその恐怖は10倍であるとレビューがあり、従来のプレースキルどころではない。


バイオシリーズはメインシリーズ3作ごとにシステムが変わる。つまり、バイオ8はこのシステムの中でさらに恐怖を充実させてくるわけである。


どんな結果になるにせよ楽しみでならない。VRやMRは個人の能力、特に運動能力に依存するゲームを作り出しているがバイオ7の恐怖による障害は、個人の性格や感受性に依存するゲームなのかもしれない。

これまで、プレイヤーに平等に与えられていたゲームが、プレイヤーの性格や運動能力に依存してくるのはちょっと嫌な部分もあるけれど。新しいゲームの形として面白いものがどんどん出てきてほしいなと。バイオ7をやって思った次第です。

以上