人生の山中にて

なんかあったら、書く

『悪は存在しない』の気になったところ(ネタバレ)

もしかしたら、誰かと話すことになるかもしれないのでメモしておく。別に何か考察とかがあるわけではない

 

・主人公の中立性

中立として書こうとしている。ただ、中立すぎてなのか、そもそも人格がよくわからない。なのに存在感だけがある。なのにラストがあれだからかなり混乱する。

 

・ラストのハリボテの鹿

『偶然と想像』の一話のラストの手法と同じでハリボテっぽさがあるからそれがバーチャル。想像の中である。つまり、ハナは傷ついた鹿に殺されたと主人公は想像したのだろう。それは現実では定かではないが。

 

・想像の中で、主人公の娘ハナは自分から鹿に近づこうとする。

自殺のようにも見える。つまり、主人公はハナが自死しうると想像できる状態にあった?

他の考察にもあったが、主人公とハナとの関係性は微妙で。主人公があまり関心を払えていないように思える。ハナの知らなかった感情にあの想像の中で気づくという感じなのか。ただ、主人公の想像なので気づいていないが知っているみたいな状態だったのだろうか。

 

・主人公の妻、ハナのお母さんの存在

写真から3人で暮らしていたことが分かる。ありがちだけど、この存在が何かしら狂わせたみたいな話なのだろうか。

 

・家の中のピアノとキジの羽で作る楽器(名前忘れたピアノのようなやつ) 

キジの羽を区長に渡した時、楽器の話をして自分は楽器は弾かない。誰か亡くなった人が弾くというようなニュアンスが残る。これは、今思えば当てはまるのはピアノを弾いていたであろう主人公の妻なのではないだろうか?

 

・区長からの信頼が何か異様な感じがする。便利屋としての役割だけであんな感じになるだろうか?

なんか気持ち悪い。

 

・区長はハナ捜索の際に、一緒に外に出て探さない。

身体が悪くても普通探さないだろうか。達観しているようにも見えたし、次に起こることが何なのかわかっているようでもあった。

 

水は低きに流れる。環境汚染とかそうゆう話ではなく。上で起こったことは、必ず下に影響する。上に住む者はそれをわきまえて行動しなければならない。

 

上で起こった事。というのはラストシーンではなんだったのか。

この監督が『偶然』をテーマにしている。

この水の話は、偶然な因果応報というように解釈できる。

 

・棘のある木で手を切ってしまう東京から来た女性

出てきた中で一番気になっている人物で。この人の役割がわからない。ラストで、棘のある木で手を切り、主人公の手当を受ける。

ここでも、主人公は娘を優先せずにこの女性の手当を優先する。そして、おそらく不慣れな場所に連れ回した事を謝る。

 

・東京から来た女性は、家の外で帰りを待つが最終的に部屋の中に入ってしまう。

何か、執着のなさを感じる。とても親切にしてくれた人の娘である。確かに、自分ではどうしょうもないし寒いで家の中に入るのは分かるが、映画として家の中に入る描写が必要だろうか?外で待っているシーンだけでもいい気がした。

 

・グランピングは鹿の通り道であるという車内の3人の会話。

多分、一番重要な会話なんじゃないだろうか。この会話の中で二つの内容の話をしている。

 

1. 鹿は傷ついている場合以外は、人間に近づかず、攻撃してこない。

間接的に、ハナちゃんの最期を想像させる 。

 

2. 『グランピング施設を建てたら鹿はどこに行く?』→『どこか他の別のところに。』

これで会話が終わるが恐らく、その先は。

『他の場所がない場合はどうしたらいい?』

なのではないだろうか。

ここまで書きながら、気づいたが。主人公はこの場所でしか生きられない境遇なのかもしれない。鹿のようにどこか別の場所にはいけない。

(鹿も別に他の場所に行けるのかは定かではない)

田舎側の人間全般そうだが。どこか他の場所に行く事はできない側の人間たちなのかもしれない。

 

・ハナちゃんの役割

もし、鹿に人格があるならば。『どこか他の別のところ』に行くのは、お前たちだ!と言いそうである。そもそも東京から来た2人は2人とも今の職や場所に執着がない。

男性側は都合よく移住しようとしているし、女性側は明確に『これが最後の仕事』と言い切っている。

つまり、今と違う他の場所に行くのは明らかに2人なのである。どのような場所に行くかは、男性はラストシーンの通りいなくなり、女性はもしかして主人公の家に住むことになるのではないだろうか。(想像だが。)

 

話が飛んだけど、鹿側が『別の場所に行くのはお前たちだ!』の意思を伝えるには主人公の娘をある意味生贄として利用するしかなかった。コミュニケーションとして。そうなった。

 

以上。

書いてだいぶ消化できて良かった。なんか思い出したらまた書く。